今日こそオカンに勝つ
今日12/3はオカンの誕生日だ。古くは平安の世から存在しており、日出処の天子、ポーの一族、聖闘士星矢等を読んでは筆をとっていたとされているうちのオカンがまた一つ歳を重ねる。
タイプの違う父母に育てられ、私は運良く幼少期から動物のお医者さん全巻、ガラスの仮面出てるとこまでを読む権限を与えられのびのびと成長した。
親子とはいえ他人同士、全く感覚が合わないことは多々あるものの互いによく同居し続けているものだ。
義務教育を受けているうちは強制的にやらされていた親への感謝の念も流石に成人過ぎると自然に浮かぶ。
そこで思い返されるのは、毎年の誕生日プレゼントであった。
小学校の頃はとにかく金がない。豪華なものも渡せない上に忙殺されていたので(小学生は忙殺されていることが多い)手短にどっかのテレビで見たような『かたたたきけん』やら『おてつだいけん』を渡していた。そんなものを渡さなくても手伝いはしていたのだが、こういうのは形を示すのが大事である。このとき弟がぎゃーすかベッドで泣いていたので私も泣きながらあやしたり哺乳瓶やったりおむつ変えたりしていた。券を使う暇は互いになかった。
中学も相変わらず金がない。お年玉を貯めるとかいう考えは微塵もない。テメエババーコノヤローザケンナ的な反抗期は来なかったのでこのときも普通に『肩叩き券』だった。このとき弟が丁度跳んだり跳ねたりカーニバル状態だったので、やはり時間がとれなかったような気がする。
高校の途中でバイトを始めたので、少し金が入るようになった。自分が働いたぶんだけ報酬が出るというのはいいもんである。この辺りから物品を贈りだした。
だしたのだが、ここからオカンと私の因縁ことほぎバトルが始まった。
初年は、シュシュだった。オカンは髪がメチャ長なので(平安時代の名残だと思われる)よく家のそこらじゅうに髪ゴムが散らばっていた。あんなもんはあればあるだけいいので我ながらいいチョイスだぞ、とほくそえんでいたことが懐かしい。
使われなかった。
おい……髪ゴム無いな~~~じゃねえぞ……ッ
そこに……そこにかけて……かけ、え?何にかけてんのそれ?え?それサンタさんデカ蝋燭じゃない?え?毎日サンタいるの?燃えそうなもんに燃えそうなもんを掛けるのってどうなん?サンタさんスカート履いてるみたいになってるよ?
贈ったものは相手のものという前提がある手前、そこで使ってよともなんか言い出せず、結局100均のゴムを見つけた見つけたつって手に取るオカンをただ見送った。
デザインは華美なものではない。身内や自分が着飾ると面白がるタイプだったので、私の思うこれええやん!というものは外しいつでもどこでも付けられるものを選んだ筈だ。
なんだよこのファッションモンスターオルタが……
なんでもいいなら付けろよ…………シュシュだからか???布がひらひらしてる時点で生理的嫌悪を抱いてしまったのか??????
そうしてリベンジで翌年贈ったのは……お菓子であった。
髪飾りの翌年また髪飾りだったら怪しまれるかもしれないと考えたのだ。実際のところ私が贈ったものは毎年忘れられていくのでそういう心理戦は通用すらしていなかったのだが、それはさておきお菓子を送りつけた。
オカンはシルバニアファミリー的なちんまいこんまい物はどっさりみたいなやつが大好きだ。甘いものや茶もしばくから、お菓子は安牌とはいえ『正解』と言わざるをえないだろう。
ほとんどオトンが食った。
オトン!!!!!!!!!
オト……オトン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
オト~~~~~~~~~~~~~~~~~~ン
オトオトオトオトオト
オーオートットッ オートッオートッオー トットッ オートッオーオー トッオートッオートッ トッオートッ
なんで~~~~~~????
オトン「え、だって食べていいか聞いたらお母さんが食べていいよって言ったし……」
オカーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!
いやまあね、なにも一人で全部食えとは言いませんわよわたくしも? ですがこう、明らかにオトンが食ってるんですのよね。それ誕プレなんだよねって言ったときのオトンの顔がわかりまして?無表情ですわ!なにせわたくしと表情の動かし方が同じですからね!オーーッホッホッホッホッホッ!この世の終わりですわ~~~~~~!!
さらに翌年、髪留め。
今回は黒ゴムに小振りの石飾りが付いたものだった。シンプルなデザインだからどこにでも付けていける。これは一昨年も考えていたことだが、もしかしてシンプルじゃない方が逆につけてくれるんだろうか?
案の定付けられていない。確かこの年は贈ったその場でつけてみて!!!と言い無理やりつけさせた。ええやん~とにやついているとハイハイ、アリガトーゴザイマスと返される。オカンは照れ隠しがすごすぎて礼をあまり言わない。負けながらも、棒読みとはいえ受け取った人の対応をされて私は深く頷いた。以降その髪ゴムは棚の上にぽんと置かれている。置くな。つけろ。
それ以降も毎年なにか贈っているが、とにもかくにも使われない。消えものは腐らせ廃棄したこともある。もったいないとか大事だから使えないとか、そういう良い理由で触れられないならまだわかるが、食いもんくらいは処理してほしい。茶葉がダメになるってなんだよ。
そして来た2021年12月3日。
私は……
私が選んだプレゼントは……
まだ届いてなかった。(オカンごめん)
今年は服にしたが多分着られない。もしかしたら私が着ることになるかもしれない。趣味じゃない。
クソッ……今年こそ……
勝ちてえ……!!!!!!!!!!!!!!!!!!みんな!!!!!!!!!応援しててくれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!お届け予定日に!!!!!!!!!